中央競馬の夏場のローカル開催「夏競馬」。高温多湿という独特な日本の気候同様に、この夏競馬の攻略法にも独特な攻略法があります。普段から中央競馬の馬券を楽しんでいる方も、この夏競馬に関しては、普段とは別の常識で検討する必要があります。
そこで夏競馬向けの攻略法5選に加え、この時期だけは忘れるべき常識3つを併せて紹介しておきましょう。
目次
夏競馬攻略への道、まず捨てるべき常識3つ!
夏競馬を予想する際、おそらく予想の邪魔になるであろう3つの常識をピックアップしましょう。
- 馬を格を予想に組み込む
- 騎手の実績にこだわる
- 前走の着順にこだわる
いずれも、夏競馬の開催以外であれば当然考慮に入れるべき要素です。しかし、こと夏競馬において、これらの常識にとらわれすぎると、的中率が下がる可能性が高くなってしまいます。
それぞれの理由に関して解説していきましょう。
馬の格に執着すること
競走馬にも当然格はあります。GⅠでも掲示板を確保できる実力馬が、OP特別に出てくれば当然注目が必要です。
しかし夏競馬は格よりも調子が重要になる季節です。夏の気候はサラブレッドにとっても過酷なもので、夏競馬の時期に本来の調子を維持できる馬や、いつも以上に好調になる馬もいますが、同時に夏に調子を落とす馬も多くいます。
夏は馬の格を無視していいわけではありませんが、それ以上に調子に注目するようにしましょう。
夏場が得意な騎手がいる理由
夏競馬の面白いところは、夏競馬に強い騎手とそうではない騎手がおり、その力関係が通常の開催とは少し事情が変わるということです。その理由はいくつか考えられますので、いくつかご紹介しておきましょう。
まずはトップジョッキーが北海道に集まる傾向にあるということ。夏競馬において最大のレースは札幌競馬場で行われる札幌記念(GⅡ)です。また、北海道開催では有力な2歳馬のデビューが多いこともあり、多くのトップジョッキーは北海道に滞在し、毎週北海道開催に参戦する傾向があります。
そのためほかの競馬場(福島・新潟・中京・小倉)ではトップジョッキー不在でのレースが多く、中堅騎手が活躍する傾向になります。
また、ローカルの競馬場にはそれぞれ特徴があります。ジョッキーの中には自分の得意な競馬場を持つジョッキーもおり、こういったジョッキーが、実績上位のジョッキーをねじ伏せるシーンも多く見られます。
これらの理由から、夏競馬ではいつもの感覚で騎手の力量を図るのではなく、あくまでのその競馬場で、その時期に強い騎手を見つけるのが重要となります。
前走の着順を必要以上に重要視すること
もうひとつは前走の着順を重要なファクターとしないことです。これは「格より調子」という言葉と相反するイメージがあるかもしれませんが、詳しく解説していきます。
夏競馬は基本的にローカル開催です。ローカル競馬場は、メイン4場(東京・中山・阪神・京都)と比較すると、レース場ごとの特徴がはっきりしており、得手不得手がはっきりしている競馬場になります。
つまり、前走と異なる競馬場で走る場合、前走の着順は大きな意味を持たないということになります。
また、格を重視しないという点でも前走の着順はあまり重視しなくてもいいということになります。「前走GⅡで3着だから…」などという格にとらわれた考え方はあまりおすすめできないという意味でもあります。
その馬の調子は、前走からの間隔やその間の調教時計、なぜそのレースに出走したかなどから読む解くのが本筋で、前走の着順はあまり意識しないようにしましょう。
夏競馬攻略のために頭に入れておくべきこと5選!
夏競馬でしっかりと結果を残したいのであれば、夏競馬に合った攻略法で馬券を検討する必要があります。そのためにぜひ頭に入れておいていただきたいことを5つまとめておきましょう。
- 馬の調整過程に注目
- 無理に三連単を狙わない柔軟性
- 「夏競馬は牝馬を買え」という格言を思い出す
- 大型馬は要チェック
- 夏競馬に強い騎手をチェックしておく
それぞれのポイントに関して詳しく解説していきましょう。
夏はしっかり調整された馬を選ぶ
競馬の予想をするわけですから、その馬の実力を正確に測るというのは常に必要です。しかし夏競馬に関しては、その上で馬の調子を見極めるのがさらに重要になります。
注目すべきポイントはローテーションと調教本数、調教強度です。
競馬では連勝をすることは簡単ではありません。条件戦の馬であれば、勝てば条件が上がるわけで、簡単に連勝できません。重賞クラスになれば相手も強くなりますので同様でしょう。
つまり多くの馬が、「ここで勝負する」という勝負がかりの一戦があります。特に力の入っているレースなのか、そうではないのかを見抜くのが重要になります。
この勝負度合いを見抜く上でもチェックしたいのが調教です。調教にはいろいろな見方がありますが、分かりやすいのは前走との比較です。前走よりも本数が多い、強度が高い、いつもと違う調教コースを利用しているなどに注目しましょう。
同時に注目したいのが輸送距離です。夏競馬では長距離輸送の競馬が増えるため、気温の高さも相まって調教が抑え気味になる傾向にあります。そんな中調教強度を上げて、それでも馬体重が減っていないようであれば、勝負がかりであり、しかも絶好調であると判断していいでしょう。
下手に三連単を狙うよりも単勝で確実にせめて行く
普段馬券を買うときは、三連単が中心という方も多いかと思います。当たれば配当が大きい三連単を中心に考えるのは当然です。
しかし、夏競馬はほかの季節と比較すると、配当が暴れる傾向にある時期です。三連単から単勝勝負は極端かもしれませんが、レースによっては三連複や馬単、ワイドなど、別の券種での勝負も視野に入れておくといいでしょう。
荒れる傾向が強い夏競馬は、柔軟な狙いが生きる季節でもあります。
「夏競馬は牝馬を買え」という格言がある
夏は牝馬という格言はあながち無視できない格言です。実際に人気薄の牝馬の激走で、大荒れになったレースも多いですし、夏競馬の活躍をきっかけに、秋競馬でも活躍した牝馬もいます。
一般的にサラブレッドは、牡馬よりも牝馬のほうがタフと言われています。生物全体を見ても、出産という大きな仕事を請け負う女性(メス)は、男性(オス)よりもタフと言われています。
真夏の競馬は、その気温や湿度という点からも、サラブレッドにとっては過酷な環境でのレースになります。こういったレースでこそ、牝馬のタフさが強調されるというのも間違いのない理論でしょう。
大型馬は苦戦する
これはすべての馬に共通するというわけではありません。馬体重の大きな大型馬でも、夏の季節が合う馬はいますし、小さな馬でも夏が苦手な馬はいます。ただし大きな傾向としては大型馬のほうが苦戦傾向であるのは間違いありません。
人間でも体の大きな方ほど、暑い時期はより辛いと感じるのと同様に、馬も体の大きな馬ほど暑さは堪えるものです。
馬券検討の最後に取捨選択で迷ったら、馬体重を参考にしてもいいでしょう。
夏競馬に強い騎手を理解しておく
夏競馬に強い騎手に関しては、長年競馬を見ていると、徐々にイメージできるようになるかと思います。そこで直近の情報として、2020年の競馬場別夏競馬リーディングを紹介しておきましょう。
〇4回阪神開催(2020/7/4~7/19)
順 | 所属 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 年間成績 |
1位 | 栗東 | 川田将雅 | 【14,9,3,13】 | .359 | .590 | .667 | 2位 |
2位 | 栗東 | 北村友一 | 【8,5,1,24】 | .211 | .342 | .368 | 17位 |
3位 | 栗東 | 福永祐一 | 【7,5,6,24】 | .167 | .286 | .429 | 3位 |
4位 | 栗東 | 松山弘平 | 【6,6,8,43】 | .095 | .191 | .318 | 4位 |
5位 | 栗東 | 幸英明 | 【4,5,5,42】 | .071 | .161 | .250 | 12位 |
6位 | 栗東 | 浜中俊 | 【3,7,2,30】 | .071 | .238 | .286 | 30位 |
7位 | 栗東 | 秋山真一郎 | 【3,4,2,22】 | .097 | .226 | .290 | 50位 |
8位 | 栗東 | 岩田望来 | 【3,2,3,26】 | .088 | .147 | .235 | 9位 |
9位 | 栗東 | 鮫島克駿 | 【2,3,2,37】 | .046 | .114 | .159 | 31位 |
10位 | 栗東 | 川須栄彦 | 【2,2,4,32】 | .050 | .100 | .200 | 46位 |
普段は夏競馬の開催がない阪神開催なので参考記録ですが、年間成績上位者が順当に成績を収めています。注目すべきは北村友一騎手の好成績でしょう。
〇2回福島開催(2020/7/4~7/19)
順 | 所属 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 年間成績 |
1位 | 美浦 | 田辺裕信 | 【8,7,0,26】 | .195 | .366 | .366 | 10位 |
2位 | 美浦 | 戸崎圭太 | 【5,8,6,16】 | .143 | .371 | .543 | 19位 |
3位 | 美浦 | 菅原明良 | 【5,2,1,37】 | .111 | .156 | .178 | 38位 |
4位 | 美浦 | 三浦皇成 | 【3,4,6,19】 | .094 | .219 | .406 | 8位 |
5位 | 美浦 | 柴田大知 | 【3,2,3,35】 | .070 | .116 | .186 | 45位 |
6位 | 美浦 | 藤田菜七子 | 【3,2,3,26】 | .088 | .147 | .235 | 34位 |
7位 | 美浦 | 横山典弘 | 【3,2,1,13】 | .158 | .263 | .316 | 14位 |
8位 | 栗東 | M.デムーロ | 【3,1,1,21】 | .115 | .154 | .192 | 12位 |
9位 | 美浦 | 吉田豊 | 【3,1,1,25】 | .100 | .133 | .167 | 47位 |
10位 | 美浦 | 丸山元気 | 【3,0,0,7】 | .300 | .300 | .300 | 23位 |
福島開催は美浦所属の騎手が中心になります。注目は戸崎圭太騎手の好成績。地方出身騎手だけに混割のローカル競馬は合っているのかもしれません。反対に危険なのがM.デムーロ騎手。馬柱を見て「デムーロだから」と飛びつくのは、夏の福島では危険と言えます。
〇2回函館開催(2020/7/4~7/19)
順 | 所属 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 年間成績 |
1位 | 栗東 | C.ルメール | 【9,7,4,24】 | .205 | .364 | .455 | 1位 |
2位 | 美浦 | 横山武史 | 【6,5,2,25】 | .158 | .290 | .342 | 6位 |
3位 | 美浦 | 丹内祐次 | 【5,5,4,40】 | .093 | .185 | .259 | 41位 |
4位 | 栗東 | 藤岡佑介 | 【5,4,4,23】 | .139 | .250 | .361 | 11位 |
5位 | 美浦 | 吉田隼人 | 【5,3,4,30】 | .119 | .191 | .286 | 7位 |
6位 | 栗東 | 池添謙一 | 【4,7,3,26】 | .100 | .275 | .350 | 17位 |
7位 | 栗東 | 坂井瑠星 | 【4,2,4,18】 | .143 | .214 | .357 | 26位 |
8位 | 栗東 | 古川吉洋 | 【3,3,2,21】 | .103 | .207 | .276 | 55位 |
9位 | 栗東 | 亀田温心 | 【3,2,2,37】 | .068 | .114 | .159 | 29位 |
10位 | 栗東 | 岩田康誠 | 【3,2,2,18】 | .120 | .200 | .280 | 20位 |
2回函館で行われたレース数は72レース。そのうち47レースでこの上位10人が勝っています。函館は勝つ騎手が一部に偏る傾向があるのかもしれません。騎手の中では丹内祐次騎手に注目。トップ騎手が集まる夏の北海道でこの成績は優秀といっていいでしょう。
〇2回&3回新潟開催(2020/7/25~9/6)
順 | 所属 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 年間成績 |
1位 | 栗東 | 福永祐一 | 【15,5,7,22】 | .306 | .408 | .551 | 3位 |
2位 | 美浦 | 戸崎圭太 | 【9,7,6,57】 | .114 | .203 | .279 | 19位 |
3位 | 美浦 | 三浦皇成 | 【8,17,10,69】 | .077 | .240 | .336 | 8位 |
4位 | 栗東 | M.デムーロ | 【7,7,6,54】 | .095 | .189 | .270 | 12位 |
5位 | 美浦 | 柴田大知 | 【6,3,7,71】 | .069 | .103 | .184 | 45位 |
6位 | 美浦 | 横山典弘 | 【6,3,2,11】 | .273 | .409 | .500 | 14位 |
7位 | 美浦 | 丸山元気 | 【6,4,2,54】 | .091 | .152 | .182 | 23位 |
8位 | 栗東 | 幸英明 | 【5,5,3,35】 | .104 | .208 | .271 | 12位 |
9位 | 栗東 | 川田将雅 | 【5,4,6,16】 | .161 | .290 | .484 | 2位 |
10位 | 栗東 | 斎藤新 | 【5,5,5,69】 | .060 | .119 | .179 | 34位 |
連続開催となった新潟でも好成績が目立つのは戸崎圭太騎手。2020年の戸崎騎手は、年間56勝のうち14勝はほぼ2ヶ月間の夏競馬で荒稼ぎしています。信頼度の高さで言えばベテランの横山典弘騎手にも注目。騎乗数は少ないものの高い率を残しています。
〇1回&2回札幌開催(2020/7/25~9/6)
順 | 所属 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 年間成績 |
1位 | 栗東 | C.ルメール | 【26,21,9,46】 | .255 | .461 | .549 | 1位 |
2位 | 美浦 | 横山武史 | 【21,11,14,76】 | .172 | .262 | .377 | 6位 |
3位 | 美浦 | 吉田隼人 | 【12,10,9,74】 | .114 | .210 | .295 | 7位 |
4位 | 栗東 | 池添謙一 | 【10,7,12,49】 | .128 | .218 | .372 | 17位 |
5位 | 栗東 | 武豊 | 【8,11,4,30】 | .151 | .359 | .434 | 5位 |
6位 | 栗東 | 亀田温心 | 【8,4,9,80】 | .079 | .119 | .208 | 29位 |
7位 | 美浦 | 横山和生 | 【7,12,9,50】 | .090 | .244 | .359 | 38位 |
8位 | 栗東 | 団野大成 | 【7,9,10,96】 | .057 | .131 | .213 | 15位 |
9位 | 栗東 | 坂井瑠星 | 【7,2,8,47】 | .109 | .141 | .266 | 26位 |
10位 | 美浦 | 丹内祐次 | 【7,7,8,88】 | .064 | .127 | .200 | 41位 |
新潟と同じタイミングで2開催連続開催となった札幌。函館開催から流れてくる騎手が中心で、上位陣は比較的年間成績通りの結果を出しています。特注は坂井瑠星騎手。50を超える騎乗数で勝率1割超えは褒められる数字といえるでしょう。
〇2回小倉開催(2020/8/15~9/6)
順 | 所属 | 騎手 | 成績 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 年間成績 |
1位 | 栗東 | 川田将雅 | 【13,11,2,23】 | .265 | .490 | .531 | 2位 |
2位 | 栗東 | 松山弘平 | 【12,4,5,55】 | .158 | .211 | .276 | 4位 |
3位 | 栗東 | 福永祐一 | 【7,7,2,9】 | .280 | .560 | .640 | 3位 |
4位 | 栗東 | 藤岡康太 | 【6,2,3,45】 | .107 | .143 | .196 | 20位 |
5位 | 栗東 | 北村友一 | 【5,6,11,35】 | .088 | .193 | .386 | 17位 |
6位 | 栗東 | 鮫島克駿 | 【5,5,1,45】 | .089 | .179 | .196 | 31位 |
7位 | 栗東 | 松若風馬 | 【5,5,4,55】 | .073 | .145 | .203 | 25位 |
8位 | 栗東 | 武豊 | 【4,7,0,17】 | .143 | .393 | .393 | 5位 |
9位 | 栗東 | 和田竜二 | 【3,5,7,51】 | .046 | .121 | .227 | 16位 |
10位 | 栗東 | 秋山真一郎 | 【3,2,3,31】 | .077 | .128 | .205 | 50位 |
最後に小倉開催です。小倉で存在感を見せているのが武豊騎手。札幌開催も同様ですが、夏競馬では騎乗数が落ちる武騎手ですが、率の面では非常に優秀です。年間成績と比較して好成績を残しているのは、阪神開催同様北村友一騎手でしょう。
まとめ
夏競馬の攻略には、夏競馬ならではの特徴を把握し、この特徴を馬券検討に生かすことが重要です。
馬を見るときは格よりも調子を重視し、夏競馬が得意な騎手、得意な競馬場を持つ機種がいることも知っておくと、馬券戦略にも活かせるでしょう。