夏競馬は「荒れる」というのは本当か。グラフでみる事実!

夏競馬

夏競馬は荒れる」という格言を聞いたことがるという方も多いかと思います。この言葉は本当なのか?ただ単に印象で語られている可能性もありますので、この記事では各種データから本当に夏競馬が荒れるのかどうかを検証します。

最初に結果を書いておきますが、「夏競馬は荒れます」。その事実と理由に関して解説していきましょう。

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夏競馬が荒れると言われる理由


夏競馬が荒れるにはいくつかの理由が存在します。その理由の元となるのは基本的に3つです。その3つを紹介しておきましょう。

★開催競馬場
★気候
★相手関係

さらに細かく理由について解説していきます。

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直線が短いコースが多い?


夏競馬は基本的にローカル競馬場(札幌・函館・福島・新潟・中京・小倉)で開催されます。こうしたローカル競馬場の特徴としてよく語られるのが「直線の短さ」です。

しかし、この「直線が短い」というのは、かなり昔からの競馬ファンのイメージ。実際に中央競馬を開催している競馬場の芝コースの直線距離を比較してみましょう。内回り・外回りが存在する競馬場は、外回りなど最長の直線距離を表記します。

競馬場 直線距離
札幌競馬場 269.1m
函館競馬場 264.5m
福島競馬場 299.7m
新潟競馬場 658.7m
中山競馬場 310m
東京競馬場 525.9m
中京競馬場 412.5m
京都競馬場 403.7m
阪神競馬場 476.3m
小倉競馬場 293m

競馬場の改装が進み、新潟の直線は中央競馬でも最長距離ですし、中京競馬場の直線は中山や京都と比較しても長くなっています

ローカル競馬場のポイントは現在、「直線の短さ」ではなく、「コーナーの急角度」にあります。

かつてローカル競馬場はどこも直線の短いコースばかりでした。つまり、コース全体のオーバル自体が小さかったという事実があります。新潟や中京は改修により直線は長くなりましたが、コーナーのR自体は以前のまま、つまり「小回りのコーナー」のまま変わっていません

直線が短い時代のローカル競馬場では、逃げ・先行馬が有利でしたが、現在では少々事情が違います。特に新潟や中京では小回りコーナーを上手にこなした上で、さらに最後の直線で爆発力のある馬が有利となります。

ローカル競馬場は「直線が短い」よりも「コーナーが小回りで器用さが必要」と覚えておきましょう

日本の夏は高温多湿で馬のコンディションが崩れやすい

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日本の夏の高温多湿な気候は、馬にとっても非常に過酷なものです。この過酷な気候で、馬の体調維持が難しくなります。もちろん、レースに出られないほどの体調悪化であれば出走は取りやめるでしょう。

しかし、競走馬は出走しなければ賞金や出走手当を手にすることはできません。そこで調教師は、馬の体調を気遣いながら、出走できるレベルには仕上げます

しかし、その程度の仕上げでは、馬の本当の実力が発揮できないというケースも当然考えられ、こういった馬が凡走し、馬券があれるという結果になります。

強い馬が休息期間に入るためにレースが拮抗する

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GⅠレースでも勝負になるような実力馬や、将来的に大切に育てたい期待馬は、高温多湿の夏場に無理はさせません。比較的涼しい北海道などで、秋競馬に備えて放牧を行います

夏競馬に出走しているのは、こういった実力馬、期待馬以外。圧倒的な実力を持つ馬が出走しないことで、多くのレースで実力が拮抗するという自体が発生します。

また、同時に夏競馬の重賞ではハンデ重賞が多く組まれており、このハンデも実力を拮抗させるひとつの理由となります。

実力が拮抗すれば予想は難しくなりますし、そのうえ馬の調子の維持が難しいとなれば、さらにレース結果は予想外の荒れ具合となる可能性が高くなります。

相手との力関係が測りにくい

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これは夏競馬独特の特徴となりますが、どのレースでも実力比較がしづらい傾向があります。その理由が3歳馬です。

3歳馬は、夏競馬の前まで、基本的に「3歳限定戦」に出走します。しかし夏競馬からは古馬と一緒に「3歳以上」の条件戦に出走することになります。

従来その条件で走っていた古馬と、新たに加わってきた3歳馬。どちらが強いのかの判別が非常に難しくなります。その理由について解説しておきましょう。

夏競馬で狙える3歳馬と危険な3歳馬

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3歳馬にとっての大目標は、基本的にダービーです。ダービーは今でも競馬関係者にとって最大のレースであり、多くの競馬関係者憧れのレースでもあります。

春競馬までの3歳馬は、基本的にダービーもしくはオークスを目指しています。その馬の本質がダート馬でも、マイラーでも目指すはダービー(オークス)です。実際に2016年に安田記念を勝ったロゴタイプも、皐月賞勝利後はNHKマイルCではなくダービーに出走していますし、2021年に安田記念を勝ったダノンキングリーもダービー2着馬です。

しかし夏競馬になり、自己条件に出走するのであれば、その馬の力を存分に発揮できる距離、コースが選ばれます。それまで中距離路線だった馬がマイル戦に出てきたり、ダート戦に出てきたり。

こうした場合は、血統や走りや馬体から想像するしかありませんが、基本的に路線を変えてきた馬はねらい目ありです。

危険なのは、春競馬で、強行軍でクラシック出走を目指していたような馬。冬場から重傷を転戦し、さらにトライアルにも出走。皐月賞(桜花賞)に出走するも賞金を加算できず、ダービー(オークス)のトライアルに出走したような馬です。

冬~春にかけて使いまくった馬は、夏競馬で走るだけのスタミナが残っていない可能性が高い傾向にあります。ダービートライアルで掲示板に乗ったり、オークスで勝ち馬と僅差であったなどの理由で人気をする馬でも、調教が緩かったりする場合は疑ってかかったほうがいいでしょう。

グラフで見る夏競馬で1番人気馬が勝つ割合

グラフ
夏競馬が実際に荒れているというデータということで、単勝1番人気の馬の成績について調べてみました。データは2020年に行われた中央競馬全レースです

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単勝1番人気の月別勝率

勝率_グラフ
2020年に行われた中央競馬のレースは全部で3,456レース。このうち単勝1番人気が勝ったレースは1,111レース。勝率は32.1%ということになります。上のグラフは単勝1番人気の勝率を、月ごとに集計した結果です。

オレンジの点線が年間平均の32.1%のラインです。ここを下回る、つまり平均よりも単勝1番人気が負けた回数が多かった月が、1月と5~8月。特に低いのが1,7,8月。夏競馬に加えて、夏競馬同様に気候が極端かつGⅠが開催されない1月が低くなっています。

単勝1番人気の月別単勝回収率&複勝回収率

回収率_グラフ単勝の回収率や複勝の回収率に関しても、基本的には勝率と同様で1,7,8月の数字が低くなっています。特に低いのが8月。回収率が低いということは、それだけ期待値の高い1番人気が負けているという証拠でもあります。

ちなみに、単勝1番人気のオッズが100~190円だったレースは、2020年全体で730レース。通年の1番人気の勝率は46.8%でした。しかし夏競馬期間中の単勝100円台の勝率は40.0%。圧倒的な1番人気でもあっさり負けてしまうのが夏競馬といえます。

2020年の夏競馬において、単勝100円台の1番人気が4着以下に敗れたレースの中で、馬の評価が難しい新馬戦と未勝利戦を除いたレースを確認しておきましょう。

日付 レース 1番人気 オッズ 着順 三連単配当
7月5日 函館7R ワンダーラジャ 170円 4着 61,600円
7月12日 函館9R ダノンセレスタ 170円 4着 14,330円
7月18日 函館7R ローズオブシャロン 190円 4着 98,020円
7月18日 函館11R モンファボリ 150円 13着 577,430円
7月19日 阪神8R アメリカンシード 190円 9着 127,330円
8月2日 札幌7R ゴルコンダ 150円 4着 66,680円
8月8日 札幌12R ヴィディア 190円 4着 83,650円
8月22日 小倉9R アステロイドベルト 190円 4着 70,090円
9月6日 新潟7R キャッツアイ 170円 7着 146,980円
9月6日 札幌12R ロンドンデリーエア 160円 7着 151,020円

開催競馬場別1番人気の成績

最後に開催競馬場別の、1番人気の勝率・単勝回収率・複勝回収率をまとめておきましょう。これはグラフよりも表のほうが見やすいので表で掲載します。

競馬場 1番人気成績 勝率 単勝回収値 複勝回収値
札幌競馬場 【39,20,23,62】 27.1% 61円 70円
函館競馬場 【15,11,9,37】 20.8% 49円 60円
福島競馬場 【22,13,11,26】 30.6% 87円 89円
新潟競馬場 【43,22,20,59】 29.9% 79円 80円
中山競馬場 【175,91,62,188】 33.9% 79円 83円
東京競馬場 【187,95,63,195】 34.6% 81円 82円
中京競馬場 【101,56,31,88】 36.6% 91円 91円
京都競馬場 【146,84,58,156】 32.9% 78円 84円
阪神競馬場 【194,114,81,187】 33.7% 79円 87円
小倉競馬場 【67,44,22,107】 27.9% 74円 75円

競馬場別のデータを見ると、特に1番人気の成績が悪いのは札幌・函館の北海道開催です。この2箇所は夏競馬でしか開催がなく、特に夏競馬では1番人気が負けて、配当が荒れる傾向にあるといえるでしょう。

まとめ


夏競馬が荒れるのは間違いのない事実です。実際にデータを見ても1番人気の信頼度が低い時期であり、大きな馬券を狙うには最適の時期といえます。

夏競馬で大きな配当を狙うのであれば、馬の調子を見極め、さらに競馬場の形状に合ったタイプの馬を見つけることが重要です。

どうしても迷った場合は、「夏は牝馬」の格言を信じてみても面白いでしょう。